薩摩の剣

久しぶりにHさんが都内の稽古場所に顔を出してくれました。


私は稽古中にHさんの動きをジッと見ていて感じたことがあります。
(Hさんは薩摩の剣も使います)


薩摩の剣では刀の斬撃が対象物にとどまることを否とするそうです。
つまり斬撃は対象物を突きぬていくものでなければならないという教えです。

 

武術家の甲野善紀氏がこんなことを言ってます。
「張ってあるネットに向って水に濡れたスポンジを投げると、
スポンジはネットで止まるけれど、水だけネットの向こう側に飛んでいく。飛んでいくものは止められない。」と。

 

Hさんの斬りや突きにはそんな映像が重なります。
対象物を斬ろうとして、そこに固着することが人間の持つ本来の
力を削ぐのだと言っているかのようです。

 

そこに何もないかのように剣を振り下ろすことができれば
なんでも斬れる・・・のかもしれません。

 

そのHさんが稽古の途中でこんなことを言ってました。
「とにかく力を抜くことを意識してます」

これも重要なキーワードです。

 

またHさんはよく「波」という言葉を使われます。
彼にとっておそらく敵の身体を斬り裂くのは物理的な力ではなく、
「振動」のような感覚なのかもしれません。