洋服と着物

現在の日本人は普段は洋服を着て生活しています。
しかし、私の祖父祖母の年代で着物で過ごす人は決して少なくなかったと記憶しています。50年程前の日本のおじいちゃんおばあちゃんは着物を着て生活していたんです。

洋服と着物の決定的な違いは何でしょう?

大きな違いは着物はボタンやファスナーではなく、腰帯一つで身体に留めていること。

着物は身体の前で右前に合わせます。
すると右肩から左腰、左肩から右腰にクロスした線が出来ます。
これは何を意味するのでしょう。
着物には右肩、左肩、右腰、左腰を固定し、身体が捻れないような仕組みが内蔵されているのです。
昔の人の身体の動かし方の基本は「捻らない」こと。
普段洋服を着ている人が結婚式などで突然着物を着ると、必ず着崩れを起こします。
それは着物が悪いのではなく、身体の動かし方(特に歩行)の根本が違うからです。
洋服に馴らされた人の歩き方は手を振り、上半身を捻って歩きます。

こうした後ろ足で地面を蹴り前に進む歩き方を根本から変えて、着物の歩き方に変えることから静稽会の稽古が始まります。