突き

「突き」というと沖田総司の三段突きが有名ですが、
 「突き」は「死に太刀」などとも言われます。
それは複数の敵を相手にしている場合には「突き」が決まったとしても、

敵の体内に入った刀が抜けず他の敵に斬られてしまうことが懸念されるからです。
また「突き」は突き損じた場合に一時的に動きが止まり致命的です。

斬り方はよく米印にたとえられます。
横一文字、真っ向斬り、袈裟斬り、そして「突き」になります。

「突き」は「斬り」が線なのに対して点になります。

線よりも点の方が敵を仕損じ易いのです。


「斬り」は線と言いましたが、実は三次元の奥行きがあり、斬る面積は点のそれに比べて遥かに広くなります。
「突き」は点をひたすら前に進む訳ですから、攻撃範囲は狭いといえます。
しかしこの狭さと直線性がゆえに威力を増します。

「突き」は敵に致命傷を与える意味でもまさに「死に太刀」となります。


また「突き」は室内戦で有効です。

京都において潜伏している浪士を探索する任務の新撰組は室内戦も多かったのではと思われ、柱や鴨居を避けうる「突き」は威力を発揮したものと想像されます。

静稽会の「突き」は心臓を狙います。
そのため肋骨を通り抜けられるよう刀を横に寝かせて突きます。

日本刀の反りが胸骨を避けて心臓を貫く導線を作ります。