武士の刀

「武士道」の著者である新渡戸稲造はその著書の中で刀を武士道の力と勇気の表徴と評しています。

先日、大学時代の恩師と食事をする機会があり、かねてより新渡戸稲造を語ることの多かった恩師はこんなことをおっしゃっていました。
「日本の武道の精神に代表されるように、たとえそれが敵であっても同様に敬い尊敬する姿勢は、豊かな人間性と成熟した社会の形成に欠かす事ができない」さらに、「最も重要なのは、勝ちにのみこだわらず、公平性・高潔性を守ること」だと。

さらに私が居合をやっていることを知ると恩師の著書もある「独立自尊」の福沢諭吉も立身流の居合を抜いていたと教えてくれました。

「武士道」の中では
「重厚なる人は剣を用うべき正しき時を知り、しかしてかかる時はただ稀にのみ来たる」と書いています。

また幕末最強と言われた薩摩の武士の持つ薩摩拵の鍔には小さな穴が二つ開いています。これに紙縒や針金を通して鞘に結びつけて容易には抜けないような仕掛けをするそうです。その紙縒や針金を切る時は一生に一度だけ、死を賭けて戦う時になると言うわけです。

「武士の刀」とはそうあるべきということでしょう。