四天王

池波正太郎「剣客商売」の中に「井関道場の四天王」という話があります。
井関道場井関忠八郎亡き後の後継者争いの話です。


四天王の中の誰が後継者になるのか?

四天王にはそれぞれクセがあります。

 

小沢主計は22歳。剣の腕前は道場で一二を争う。しかし旗本の次男で野心満々で賄賂も辞さず。


渋谷寅三郎は道場最古参。主君も持たず妻子もない。剣の腕は道場一番だが、笑った顔を見たことがなく、
稽古で手加減をしないことから門人の受けも悪い。そして何より酒癖が悪い。

 

後藤九兵衛は40歳。人柄も穏やかで教え方も上手く門人の信頼も厚い。
しかし秋山小兵衛には「幇間稽古」と揶揄され、己の剣を売って名声を得ようとしていると厳しく批判される。

 

佐々木三冬は男勝りの女剣士。時の権勢者田沼意次の娘。ただ後継者争いには興味はない。

 

どこの世界にも「四天王」とか「三羽ガラス」「両巨頭」などと言われる方々がおります。
そして派閥が出来て、つまらない争いごとが起こるのが常です。
そんな世の中を見事に描いた作品です。

 

詳しくは説明しませんが、渋谷寅三郎が惨殺されることからストーリーが展開していきます。

 

剣の腕前は有っても、酒に負けた渋谷

 

同じく剣の腕前は有っても、野心に負けた小沢

 

名声を追うため自分の剣の道を曲げた後藤

 

ある意味で「権力」を持っているため権力や名声には興味がなく、自らの剣に心血を注ぐ、ジェンダーフリーの三冬(のちのち変わっていくようですが)

 

まさに人生いろいろ、剣の道もいろいろです。