緊張と呼吸

就職試験で面接を受ける方も多いと思います。私もずいぶん昔ですが、就職試験の面接を受けました。

 

当時の就職面接では特別な「質問」が用意されていて、その質問に上手く答えられない学生は動揺し、その後はアタフタしてやがてグズグズになって自滅、以上終了という感じでした。

 

誰でも面接は緊張します。ましてや(当時は)一生を左右する就職試験ですからなおさらです。私は当時、師事していた方からこんなことを言われました。

 

「緊張した時は息を吐け!徹底的に吐け!」

 

普通は深呼吸しろと言われると思うのですが、その師は「息を吐け」と。緊迫した場面ではよく「息が詰まる」と言いますが、詰まっているのだから「吐け」なんだそうです。


この方法のお陰か面接はさほど緊張することなく臨むことが出来ました。

呼吸は稽古でも大切です。そこでもやはり「吸う」ことよりも「吐く」ことに重きを置いてます。「呼吸」と言う漢字も「呼」が先で「吸」が後です。
「吸ってえ!吐いてえ!」というのは間違いで、「吐いてえ!吸ってえ!」が正しい呼吸の仕方だと思います。これは坐禅でも同じことを言われますね。

 

さらに面接試験では面接官は学生に何を求めているかと言えば、私は「花」だったのではないかと思っています。世阿弥の「風姿花伝」では「花」が一つのキーワードになっています。それを誤解を恐れずに言えば「新鮮さ」だと思います。

 

「初心忘るべからず」

 

この言葉の意味は以前に静稽録でも書きました。

 

小生意気な机上知識を振りかざし、ソツなく答える、そんな小綺麗にまとまった既に「会社員」のような学生の印象はどうでしょうか?
私が面接官なら「お疲れ様でした」かも知れません。

 

面接では多少の知識不足は問題にならないはずです。
面接はマニュアル本から覚えた「台詞」だけでは突破は難しいかと思います。また面接は相性もあります。まずはリラックス。そのためには徹底的に息を吐いてみて下さい。

 

あっ!これは稽古総見に臨む前にも有効かも知れません。平常心の虎の巻です。