指月の譬

先日、稽古総見の後の懇親会で翡縁会の多々良先生からこんなことを言われてドキッとしました。

 

「意識を外に向けると動きは変わります」

 

多々良先生は本当に良くみてます。
私の動きを見て優しくそうおっしゃったんだと直感しました。

 

映画「燃えよドラゴン」の中にブルースリーが弟子を指導する場面でこんな台詞があります。


Kick me.
Kick me. 

What was that? An exhibition?
We need emotional content.
Try again.

I said emotional content,not anger! Now try again, with me.

That's it! How did it feel to you?

 

蹴ってみろ!
蹴ってみろ!
(弟子が蹴ります)
何だそれは!見世物か?
私たちにはemotional contentが必要なんだ!
もう一回やってみろ。
(また弟子が蹴ります)
私はemotional contentと言ったんだ。
怒りじゃない!
さあもう一回やってみろ。私とやるんだ。
(さらに弟子が蹴ります)
そうだ!どんな感じだった?

 

emotional contentを訳しませんでした。

映画では「五感を研ぎ澄ませるんだ!」と訳されているみたいですが、私は少し違うのではないかと感じています。適当な言葉が浮かばなかったので、あえて訳しませんでした。
でも多々良先生はまさにこれが言いたかったんだと思います。

違っていたらごめんなさい(笑)


しかしこれは考えて出来るものではありません。

「燃えよドラゴン」のシーンは続きます。そしてあの有名な台詞になります。

 

(考える弟子に対して)
Don't think! feel!

 

さらに続きがあります。

 

“It’s like a finger pointing away to the moon.
Don’t concentrate on the finger, or you will miss all the heavenly glory.”

指は月の位置を指すことはできるが、
大事なのは指ではない。
指にこだわっていては月を見ることはできない。
真実にたどり着くには指を越えてその先の月を見ることだ。

 

これは禅の「指月の譬」です。

 

多々良先生、ありがとうございました。

今後も稽古に精進したいと思います。