恐怖心

体操競技女子種目の一つ平均台。 幅は10cm、長さ5mの上で演技します。これが地面に書いた線の上ならば、さほど驚くことはありませんが、問題は高さです。平均台の高さは125cmだそうです。もちろん床に落ちればケガをする高さですし、平均台自体に身体をぶつけてケガをすることもあるはずです。

そんな高いところで演技をするということが平均台演技の難易度を上げています。

 

高さが無い「平均台」ならもっとすごい技も出来るかも知れません。「高さ」って何でしょう。落ちてケガをするかも知れないという「恐怖心」です。その「恐怖心」が平均台の難易度を上げていると言えます。

 

私は真剣で稽古するというのはそういうことだと思っています。
(「真剣に」ではなく「真剣で」です)
初めて真剣を持った人の中には持つことすら怖いと言う人もいます。その真剣を抜き、斬り、鞘に納めるのが本来の居合です。


抜くときに自分の左脇下を斬るようなことがあれば、大ケガをするかも知れません。脇下には動脈が通っていますから。
また、抜刀や納刀の時に指や手の平を斬るかも知れません。刀が耳や頭を削ぐかも知れません。刀の勢いが止められなければ、自分の脚を斬ってしまうかも知れません。

 

本来、刀は敵を斬るものですが、しっかりとした技術がないと自分自身を斬ってしまうことになります。

そんな恐怖心と戦いながら刀を抜きます。これが居合本来の姿です。

敵に向き合う前にまず日本刀から自分の身を守る技が必要になります。

 

木刀や模造刀なら出来る動きでも真剣でやれと言われたらそう簡単には出来ないでしょう。それほど難易度は高くなります。しかしそこにテクニックだけではない深さがあるとも言えます。

 

ちなみに男子体操に平均台が無いのは、男子の場合、落下すると股間に平均台が当たってしまい大きなダメージを負うと致命傷になってしまうことがあるため、平均台は行われていないんだそうです。こちらも確かに痛そうです。