足るを知る

静稽会のAさんは少食です。

注文する際には店員さんに「ご飯を少なめにして下さい」と言います。

たったこれだけのことですが、出来る人と出来ない人がいます。


関東の覇者として5代にわたって君臨した小田原北条家にはこんな逸話があります。


ある日、3代目の北条氏康と、息子で4代目の北条氏政が、一緒に湯漬けを食べていました。
湯漬けを黙々と食べていた氏政ですが、ご飯にかけたお湯の量が足りなかったようで、途中でいったん箸を置いて、お湯をもういちど飯椀に注いでから食事を続けました。すると、それを見ていた父の氏康は溜息まじりに首を振ります。家臣たちは不思議に思い尋ねます。すると氏康はこう答えたそうです。


「毎日食事をしていながら、飯にかける湯の量も量れんとは情けない。こやつに国や家臣を推し量ることなんてできるのか?北条もわしの代で終わるか・・・」
氏康が心配した通り、北条家は5代目・氏直の代になってまもなく、豊臣秀吉によって攻め滅ぼされてしまいました。氏政がまだ存命中のことでした。

一事が万事とはよく言ったものです。

 

ちなみに私の場合は食い意地が張っているので、出されたものは全て食べ切ります(>_<)