奥山念流

お彼岸に墓参りをして来ました。
その際に亡くなった父親の書棚にあった本を持ち帰って読んでみると面白いことがわかりました。
 
その本によれば私の育った田舎では昔から剣術が盛んに稽古されていたそうです。
江戸時代初期に浦部右衛門が剣術の奥山念流(おくのやまねんりゅう)を伝えてから昭和初期まで連綿と続いていたと知りました。

近くでは上州の馬庭念流や秩父の甲源一刀流は知っていましたが、まさに地元で奥山念流という剣術が盛んだったとは・・・
もっと早く知りたかった!

 

奥山念流は現在の埼玉県上里町を中心に盛んにおこなわれた、柔術を内包した念流系の剣術流派だそうです。地理的にも近い馬庭念流のような泥臭い戦い方をする剣法だったであろうことが想像されます。

 

天正から慶長年間頃に埼玉県本庄市の卜部家に伝承され、その後、元禄の頃、根岸甚右衛門によって、矢沼九郎左衛門と大畠武兵衛昌栄に伝えられ、大畠武兵衛から坂本義右衛門に伝承されたことにより、当地で奥山念流が盛んになったそうです。

 

ん?
根岸?甚右衛門?
まさか!

 

念のためご先祖様の名前を遡って調べてしまいました(笑)。

元禄年間のご先祖様は根岸彦四郎。

まさか遠い親戚とか・・・

ないですね〜。そんな話は一切聞いたことがありませんから。


しかし今よりも人口も少なかった狭い田舎のことですからお互いに知っていたかも知れません。

お彼岸に少しだけ歴史と剣術のロマンが広がりました。

 

またこの流派名はどこかで聞いたことがあるなと思って調べてみると、なんと!あの池波正太郎の「剣客商売」に出て来た流派名でした。

 

牛堀九万之助は脇役として登場する浅草・元鳥越町に奥山念流の道場を構える剣客です。主人公秋山小兵衛の親友で生涯独身。昔、小兵衛と試合をして引き分けたことがあるほど剣の境地を開いた人物です。やはり上州倉賀野の生まれの設定でした。さすが!設定がしっかりしてます。

 

また蛇足ですが、必殺仕事人の中村主水は奥山神影流です。同じ「奥山」はつきますがこちらは全く違う系統の流派です。