正常性バイアス

「正常性バイアス」というのは自分にとって都合の悪いことに目をつむり楽観的に物事を考えてしまうことです。

日常でも思い当たることがたくさんあります。

 

先日、NHKで「八甲田山遭難事件」を取り上げた番組をやっていました。

この遭難事件は「天は我々を見放した!」のセリフが有名になった高倉健、北大路欽也W主演の映画「八甲田山」のイメージが強いですが、事実は映画とは随分と違っていたようです。

 

この遭難事件では隊員210名のうち199名が死亡しました。
遭難した青森歩兵第五連隊雪中行軍は叩き上げの神成大尉が指揮を取り、責任者は同行した陸軍エリートの山口少佐でした。

 

上長の状況判断の誤りと言ってしまえばそれまでですが、番組ではその原因を詳しく分析しておりました。

 

①第五連隊は主に東北出身者で構成されており雪や寒さには慣れていたという油断と準備不足
②ホワイトアウト
③リングワンダリング(輪形彷徨)
④時々顔を出す太陽と月に判断を惑わされた

 

悲劇には色々な直接的な原因があるようですが、底流に流れるのは「正常性バイアス」だったと感じます。

本来はそういう極限状況の時こそ冷静で現実的なリーダーの判断力が発揮されるべきですが、どうもそうはならなかったようです。

 

そして198名の兵士と現場リーダーである神成大尉が死に、責任者である山口少佐は谷に避難して生き残ったそうです。
なんともやり切れない結果です。


新型コロナウィルス対策もそうならないことを祈ります。