剣術修行の旅日記(3)

剣術修行で「立ち合い」を申し込むと、断られる場合も多かったようです。断りの理由は様々です。

 

一番多いのは道場主の「体調不良」です。これは本当に体調不良なのかどうかはわかりません(笑)

 

しかしまあ「立ち合い」を受ける側を弁護する訳ではありませんが、いきなり来て「立ち合い所望!」と言う状況はやはり受ける側に負担感があるような気がします。


若い剣術修行者と高齢の道場主、やる気満々剣術修行者の非日常と受け入れ側の日常ではテンションが違いすぎます。

 

またそもそも剣術修行者がどんな人なのかも分からないのでトラブルの心配をするかも知れません。昔のことですから、蛮勇を誇る「荒くれ者」も多かったのではと想像したりします。

 

道場主「不在」を理由に断ることもあったようです。もちろんこれも居留守ということもあったかも知れません。なにしろ旅の剣術修行者は道場主の顔を知りませんから。まあ都合が良かった理由とも言えます。

 

さらに断る理由のもう一つは当時の道場建物の問題があったようです。当時の道場は今のそれと違い、板間の道場はそれほど多くなく、土間の道場が多かったということが書いてあります。しかも青天井も多かったようですから、日記には雨が降って足元が悪いのでとお断りしている記載も出てきます。

 

土間の道場の中には雨が降った後はムシロを敷いて稽古をしていた道場もあったようです。

 

このことで思い当たることがありました。関口流の抜刀術でムシロを十字に敷いてその上で形稽古を行っているのを見たことがあります。ムシロをズラさないことで形が正しく行われているかどうかを検証する意味もあるようですが、昔の稽古場がそうした環境だったと考えるとすんなり受け入れられます。

 

こうした断りの理由ですが、「体調不良」や「不在」「道場不備」が道場の評判を落とすことなく、かつ相手の怒りを買わない穏便な断り方だったのかも知れません。

 

「危機回避」をする姿は昔も今もあまり変わりがないようです。