らんまん

NHKの朝ドラ「らんまん」にはいろいろな植物が出て来ます。

 

「雑草という草はない」

 

恥ずかしながら若い頃は植物にはほとんど興味がありませんでした。自分の日本刀を持つようになってから刀装具に意外と植物の意匠が多いのに驚き、興味を持つようになりました。

 

昔の人はどうしてこの植物を刀装具にしようと思ったのか?

理由を知ると当時の人々の想いが伝わって来ます。

 

私が稽古に使っている刀の目貫は「万年青(おもと)」です。「万年青」は徳川家康が江戸で広めたと言われていますが、常緑で冬でも青々としていることから「若々しい」「長寿」「不老」などの願いが込められています。

 

もう一振りの方の目貫には「五三の桐」と「菊」が使われています。

日本政府の紋章は「五七の桐」ですが、私の目貫は少し数が違います。「桐」は鳳凰がとまる縁起木で元々は天皇家の副紋でした。

 

そしてご存知の通り「菊」は天皇家の紋章です。重陽の節句の花でもあります。重陽の節句は9月9日、陽数の最大値が重なる日です。邪気を払い、延命長寿の意味のある縁起の良い「菊」は静稽会の紋章「菊水」にも通じます。

 

「菊」から滴り落ちる水(菊の露)を飲んだ者は長生きするといいます。そう言えば「菊乃露」や「菊水」というお酒がありましたね。「菊」はとっても縁起の良い花なのです。

 

「藤」も刀装具に使われることが多い意匠です。樹齢が長く、「無事(ぶじ)」「不死(ふし)」と音が似ていることから好まれたそうです。

他にも「桃」や「牡丹」「菖蒲」「杜若(かきつばた)」などもよく使われます。

 

自分の刀にはどんな花を飾るか?

昔の武士の願いに想いを馳せながら植物を見るのも楽しいのではないかと思います。