ハレとケ

「ハレ」と「ケ」という言葉を知ったのは10代最後の頃、民俗学の授業だったと思います。

 

「ハレ」の場は人がたくさん集まる場、華やかな場、祭礼、年中行事、非日常。「ケ」の場は普段の生活、日常。

 

「ハレ」の日は晴れ着を着て、赤飯を食べ、お酒を飲む特別な日。

「ハレ」の日ばかりだと良いのに・・・と思いますが・・・

「ハレ」も長く続くと「ケ」になっていきます。

 

実は「ケ」があるからこそ「ハレ」があります。

「ハレ」ばかりの日々が続くといずれそれが「ケ」になり、新たな「ハレ」を探すことになります。

そうやって人は「変態」していくんだ・・・

「ハレとケ」を知った時にそう得心しました(笑)

 

初めて日本刀を手にした時の怖さ。吸い込まれるような霊気。

確かに日本刀には「モノノケ」が住んでいると感じました。その時の日本刀は確かに「ハレ」でした。

 

しかしその日本刀を使い続けていると、段々と日本刀が「ハレ」から「ケ」に変わっていきます。

 

日本刀をまだ「ハレ」と感じている世の中の人に向かって、「ケ」の感覚で日本刀を語ったり、触ったり、振り回したりする人は完全に「変態」という目で見られます。

気をつけましょう(笑)

 

そして「ハレ」から「ケ」に移り変わる「逢魔時」の日本刀が一番危ないのです。

 

意外かもしれませんが、日本刀のケガで一番多いのは稽古中よりも稽古が終わって日本刀の手入れをしている時なんです。

 

稽古が終わってホッした瞬間に日本刀からスーッと「モノノケ」が現れます。

無防備な状態でその「モノノケ」に触れてしまうとケガをします。

 

稽古後の刀礼は「モノノケ」を鎮め、「ハレ」と「ケ」の境界線から「モノノケ」が出てこないようにするための儀式なのかもしれません。

そう考えれば刀礼はもっと丁寧に出来るはずです。