美しい勝ちと美しい負け

先日、流通経済大学スポーツ健康科学部 大学院健康科学研究科 黒岩純教授と酒席をご一緒する機会がありました。

 

この日は黒岩教授から教えを受けた様々なスポーツ指導者の方々と一緒に黒岩教授を囲んでの懇親会でした。私も黒岩教授から教えを受けた一人です。

 黒岩教授の専門は「コーチング学」で実践でもラグビーのコーチなどをされています。

 

酒席も進んだ頃、黒岩教授からこんな質問を受けました。

 

「皆さんはスポーツ指導者からどんな言葉を掛けられたらうれしいですか?」

 

他の方々が考える中、私が最初に答えました。

 

「美しいと言ってもらえたらうれしいです」

 

「いい答えですね〜」

 

黒岩教授はいつもこう言います()

絶対に相手の答えを否定しません。それがコーチングの鉄則だと教えて頂きました。

 

私は2019327日付けの静稽録「力の武士(もののふ)」でこんなことを書きました。

 

私の恥ずかしい経験ですが、中学生時代に柔道の試合で勝った際、うれしくて思わず応援してくれた友人に向かって軽いガッツポーズをしてしまいました。

試合後、顧問の先生に「君が勝ったことはうれしかったが、その後の態度にはガッカリした」と言われたことを今でもよく覚えています。」

 

美しい勝ちもあれば美しくない勝ちもあり、美しい負けもあれば美しくない負けもあることを深く心に刻んだ出来事でした。

 

その時の私は「美しくない勝ち」でした。

中学時代の苦い思い出はその後の勝ち負けのすべてに「それは美しいか?」という一言が加わることになります。

 

「試合には勝ったが、勝負では負けた」などと言います。

「試合」は終了しますが、「勝負」には終了はないというのが私の考えです。

 

それは勝っても美しかったか?

それは負けても美しかったか?

 

心の中で死ぬまで続きます。