剣術稽古では片方が「使太刀」もう一方が「打太刀」という役割で形稽古をします。
一般的には「打太刀」が攻撃を仕掛けて「使太刀」がその攻撃を捌きながら最終的には勝ちをおさめて終わります。
単発的な形もあれば連続している形もあって静稽会ではどちらも稽古しています。
よく「打太刀」が「使太刀」を導くと言われますが、私は少し違う思いを持っています。
もちろん最初は「使太刀」から始めますが、静稽会ではある程度「使太刀」で動ける様になったところで「打太刀」も始めます。後は時々入れ替わりながら稽古を続けていきます。
視点や立場、動きが入れ替わることで右脳と左脳がスパークする様な複雑で刺激的な一体感を味わえます。
「使太刀」あってこその「打太刀」
「打太刀」あってこその「使太刀」
上位者の「打太刀」が下位者の「使太刀」を導くという構図だけでは辿り着けない領域だと思っています。
「使太刀」としてより高く、より広く
「打太刀」としてより深く、より豊かに
そして交互に経験してお互いを知ることで二重螺旋階段を登っていくように形稽古が楽しくなります。交差する様で交差しない、でもやっぱり交差している美しい二重螺旋階段です。時々思いもつかない様な景色が見えてくることがあります。
考えてみれば二重螺旋階段はDNAと同じ構造をしています。形稽古の中に遺伝子情報を伝えるDNAの構造を感じるというのもなんだか不思議な感じです。
もしかしたらこうした形稽古の取り組み方は一般的ではないかもしれませんが、私は静稽会の「稽古を静かに楽しむ」という目的に沿った取り組み方だと思っています。