私は演武は形の精神性が語られるものでなければならないと思っています。
単に動きの速さで形をなぞるような演武や敵対動作や技術にのみに固執した演武にはあまり魅力を感じません。
先日の稽古総見で翡縁会多々良先生の舞踏にも似た(私は舞踏に対するリスペクトを込めて敢えて舞踏と表現します)最初の演武に心打たれました。静かで穏やかな動きに深い精神性を感じる演武でした。
さらに演武は形の精神性とともに稽古の中でその人の核心が練り合わされていくものだと思っています。
稽古総見後の懇親会で私はCさんの演武には「短調」を感じるとお伝えしました。
私はCさんの演武が好きで、観ていると美しい短調のメロディが溢れ出てくるように感じます。
ご本人にお伝えしたところ当初は「短調」という言葉からかあまり肯定的な響きを感じなかったのかもしれません。少し怪訝な顔をされていました。
一般的には「短調」は「暗い」「悲壮感」「重々しい」と言った雰囲気を纏った曲という感覚を持つかもしれませんが、実際は決してそんな「単調」なものではありません。
「短調」には哀しみの中にも力強さを感じさせるものもありますし、叙情的でおおらかな曲もあります。
その後、具体的な私の好きな短調の曲を例示してCさんに真意をお伝えしたところ
「具体的な曲名を聞くとよくわかります。武道を教わった先生は型に自分の個性を載せることを奨励していたので、やはりその影響もあるかもしれません。それは自分の方向性の一つだと思いますので、指摘頂いて嬉しく思います」
およそそんなことをおっしゃっていただきました。
ちなみに別のSさんの演武には「テクノ」を感じると言いました。この方の演武も好きです。
テクノは正確なビートを刻みながら複層的に音を重ねていく感じがなんとも心地良いのです。
彼の演武はスピード感溢れる多彩な音が聞こえてくるような演武です。また彼は他国の武術なども習得しているせいか、その動きからはどことなくオリエンタルなグルーヴも感じます。
やはり美しく心地よい調べが聞こえてくるような演武には惹かれてしまいます。
