レコードをクリーニングしているタモリさんに宮沢りえさんが言います。
「いちいち面倒くさくないですか?」
「面倒だからいいんじゃあないの」
最近、よく見かけるCMです。
動画の倍速視聴、スキップ再生、SNSのショート動画、映画のネタバレ視聴、イントロ短縮、冷凍食品、完全栄養食、AIツールの活用・・・
これらは確かに便利で速いですが、急いだその先に一体何があるか?失うものはないのか?
とにかく現代は忙し過ぎます。
いつの間にか心を病んでしまう人も多いように感じます。
特に若い人たちを見ているとそう思います。
私の若い頃も忙しかったですが、まだ忙しさが生活の隅々まで侵すことはなかったような気がします。
私は現代が忙し過ぎるのは過剰な機械化によってあまりにも便利になり過ぎたからではないかと思っています。
一泊二日だった出張も日帰りになり、インターネットの普及でいつでもどこでも追いかけられるようになりました。
ただ便利になり過ぎると失うものも多くなります。
荘子はこんなことを言ってます。
「機械を有する者は必ず機事あり。機事ある者は必ず機心あり」
機械を持つ者には必ず機械に頼る仕事が増える。機械に頼る仕事が増えると機械に頼る心が生まれる。
そして機械に依存し過ぎると、機械が好む考え方をするようになり、人間固有の能力や感性を衰弱させると警告しています。
機械によってタイパやコスパなどの効率を追求した結果、自分が機械に追い立てられていることさえも分からなくなっているのではと思うことがあります。
最速で必死に走り続ける人には周りはもちろん、自分さえも見えていません。
そんな人には「面倒だからいいんじゃあないの」という自由な心の生き方は分からないということになります。
しかし今更、便利さを捨てることは難しい・・・
せめて現世から切り離された道場で袴を履き、刀を差してタイムトリップ&メタモルフォーゼ、非効率、紆余曲折、試行錯誤の面倒な稽古を楽しんで欲しいと思っています。静稽会は稽古に効率を求めません。自分とじっくり向き合いながらゆっくり稽古します。
そして本来の感性を大切にして稽古します。
