人の好みというものは不思議なもので、なぜそっちなのか?と言われても答えに困ります。
知り合いの美容師がこんなこと言っていました。
「真っ直ぐな髪の毛にウェーブをつけてくれと言う人もいれば、くせ毛なのでストレートパーマをかけてくれと言う人もいる。人間というのは実に面白い!」
刀の刃文にも直刃(straight)か?乱刃(wave)か?という選択があります。
日本刀はよく「直刃に始まり、直刃に終わる」とも言われます。
また刀工や研師の方からは直刃の難しさが語られることが多いように感じます。
さらに直刃は実戦向きだと言う人もいます。
焼き入れの幅が均一なことから刀身全体に硬軟のバランスが取れるため衝撃に強いのだと。
「いやいやそんなことはない」
乱刃を推す人は反論します。
ある有名刀匠の展示会に伺った時にその刀匠は私にこんなことを言っていました。
「よく直刃の方が難しいと言われるが、私はそう思わない。直刃は簡単だ」
もちろんその刀匠は乱刃を得意としています。
また、ものの本によれば刀を打ち合うと焼き入れの境界線に物理的な負荷がかかることから、境界線が直線の直刃に比べて衝撃を分散できる乱刃の方が刀身の損壊を防ぐ能力は高いのだと。
結局どちらが正しいのか?
正直、私にはよくわかりません。
刀で戦うことなどなくなった現代においては結局好みの問題に集約されるのかもしれません。
直刃は「静」「安定」「力強さ」のイメージ、乱刃は「動」「生命力」「ダイナミック」のイメージという人もいますが、だからと言って直刃好きの人が「静」とも限りませんし、逆もまたしかりです。
装飾美術でも直線の「アールデコ」と曲線の「アールヌーヴォー」があったりします。私はアールデコの代表的な画家レンピッカが好きで、稽古に使っている差し料は直刃・・・もしかしたら私は直線好きなのかも・・・
いやいやカタルーニャ音楽堂も乱刃も好きだなあ〜
自分に似たものを求めるのか?
違ったものを求めるのか?
何が人の心を揺さぶるのか?
こればかりは説明出来ません。
